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素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)上映時間:130分

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評価【★★★★☆】4.4/5点満点中

監督
 フランク・キャプラ
脚本
 フランセス・グッドリッチ
 アルバートハケット
 フランク・キャプラ
出演者
 ジェームズ・スチュワート
 ドナ・リード
 ライオネル・バリモア  他…

 

あらすじ

 自分の夢を抱きながらも、過労で亡くなった父の会社を継ぐことになったジョージは、町一番の富豪で銀行家ポッターの圧力にも負けず真面目に働いてきた。やがて幼なじみのメリィと結婚したジョージは、子供にも恵まれしばらくは幸せな生活を送っていた。しかし経済恐慌やポッターからの圧力など数々の不運がジョージを襲い、彼は人生に絶望する。橋の上から身投げしようとしたその時、奇妙な老人が先に飛び込み、ジョージを救う。

 

フィルマークスよりあらすじ抜粋

filmarks.com

 

総評

 冬といえばクリスマス!そしてクリスマスといえばこの作品ですね。(まだ秋ですが)私も大好きな作品で毎年冬になると見返してはクライマックスでドードー滝の様に涙を流してしまいます。

 そんな本作ですが、冬の定番になったのは、とある事情から。実は製作した映画会社が倒産してしまったことで、破格の値段で権利が売られてしまったんですね。そして1950年代に入ると、TV放送がスタートし、権利が安いのでTV局がばんばんこの映画をかけるようになります。こうして、TV放送が始まったことで本作の魅力が伝播し、今や冬の定番であり、アメリカの映画学科では教材として使われるまでに至ったわけですね。

 本作の面白いところとしては2点あります。一つはファンタジーであるということ、2級天使のクラレンスが登場し、主人公のジョージに「もしあなたがいなかったら」という架空の世界を見せてきます。悲しいかな人は「自分なんか死んでしまっても何も変わらない」と考えてしまいがちですが、本作はそんな自分のいなくなった世界を最悪の未来として見せ、今の自分のいる世界がどんなにすばらしいものなのかを対比して見せてくれます。それをファンタジーで表現していることで見やすい作りになっています。

 二つ目は何といっても主人公がジェームズ・スチュアートというところでしょう。ミスター「アメリカの良心」が演じるジョージは本当に人のいい奴で自分の幸せよりも他人の幸せを優先するような性格です。本作はそんな彼がしてきた善行を本当にじっくりとしかし、テンポが悪くならず見せてくれます。こうして主人公が身投げを決意する時に心から同情するようになり、観客にも「彼が生きててほしい!」と思わせてくれるだけのパワーがあります。だからこそクライマックスで大勢の人から心配され、手を差し伸べられるシーンで心底「良かったねぇ!」と感動させられるのです。あぁ思い出してまた涙腺が…。

 総じて冬の定番であり、人生の賛歌を謳った本作は、寒い冬でも心温まる一作になっています。もし冬のある日に時間が空いているなと思ったら、また人生に疲れてしまったら本作を思い出してみてください。今ある人生のことを好きになれる一作になると思います。是非ご鑑賞下さい。