評価【★★★☆☆】3.8/5点満点中
監督
ジェームズ・マンゴールド
脚本
スコット・フランク
ジェームズ・マンゴールド
マイケル・グリーン
出演者
ヒュー・ジャックマン
パトリック・スチュワート
ダフネ・キーン 他…
あらすじ
ミュータントがほぼ絶滅し荒廃した近未来。ローガンは治癒能力を失いつつあった。そんなローガンに年老いたチャールズ・エグゼビアが託した最後のミッションは、絶滅の危機にあるミュータントの唯一の希望となるローラという謎めいた少女を守ること。強大な武装組織の襲撃を逃れ、車で荒野を旅する3人の行く手には、想像を絶する運命が待ち受けていた。
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
デッドプール3にウルヴァリン役としてヒュー・ジャックマンが復帰するという事で、事実上の引退作であった本作を視聴しました。
やはり傷ついた老人と子供の組み合わせは鉄板ですね。本作はそれまでのシリーズから近未来に舞台をかえています。病に侵され年老いたローガンが同じ能力を持つ少女ローラと出会い、少しずつ心境に変化が訪れ心を通わせていきます。
その過程が丁寧に描いていることで、単純な娯楽作品とは違う印象を与えてくれます。本作がX-MENシリーズであることを忘れてしまうほどです。
ローガンだけでなくチャールズもまたアルツハイマーに侵され、能力が暴走するという設定になっています。この設定が良く、心理的支えでもあったチャールズが枷にもなっており本作に暗い影を落としています。その最期もまた、悲しい終わり方でした。
本作はヒロイズムも徹底的に抑えられ描かれているのは暴力です。血生臭く陰惨な暴力の数々がローガンの苦悩につながっています。本作では「シェーン」が引用されていますが、その通りヒロイックだった主人公ローガンをダーティな存在へと変えています。
本作で戦う敵の設定も良かったですね。ボロボロの体を引きずって治癒能力を失いつつある体を薬で補い、奮闘するウルヴァリンに自らの過去と対峙するかのような自身のクローンと戦わせるという設定で悲しさ倍増です。
総じてイーストウッドの「グラン・トリノ」を観ているかのようなどこかサッパリとした感じとさみしさとが混じったような本作。アメコミ作品はシリーズを追わなくてはいけないものも多いですが、本作は一つの作品として完成されているので、この一本だけでも是非見ていただきたい作品になっています。おすすめです。