評価【★★★☆☆】3.8/5点満点中
監督
真利子哲也
脚本
真利子哲也
港岳彦
原作
新井英樹
出演者
池松壮亮
蒼井優
井浦新(ARATA) 他…
あらすじ
金ナシ!コネなし!勝ち目なし!・・・でも情熱だけは半端ない。熱血営業マン・宮本浩が“絶対に勝たなきゃいけないケンカ”に挑む!宮本の暑苦しくも切ない生き様を描いた“極限の人間讃歌エンターテイメント”。そして、極限の人間讃歌は、極限の愛の物語へ昇華する――
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
池松壮亮主演映画に外れなし(今のところ)。そう思わせてくれる一作になりました。
時代錯誤ともとれる男女感のやり取りには賛否両論、特に女性からは非難されても仕方ないともいえる本作ですが、池松壮亮と蒼井優の文字通り体当たりな演技を見せてくれます。
本作で描かれている物語はみっともない復讐劇を壮絶に描いています。それも愛する女性を守れなかった宮本が、自分勝手に始めた壮絶な復讐劇です。
事の発端となる事件は、いわゆる体育会系のノリで、観ていてつらくなってきます。
さらにつらいのはそのノリが主人公である宮本にもあるという事。これが営業マンに今も残る悪しき伝統なのでしょうね。
バカな言動ばかりをする宮本ですが、それでも目を離せないのは彼があまりにも愚直だからです。愚直で大声を上げる人間が愛おしく思えるのは、我々も日々の生活の中で理不尽な事に遭遇しながらも、声を上げることが叶わないからです。だからこそ宮本の愚直さに惹かれてしまいます。
総じてあまりに情けない男の壮絶な復讐劇であり、復讐そのものへのカタルシスはありませんが、暴力的な二人の愛の物語が描かれており、エンドロールのスナップ写真と宮本浩二の歌で、そこはかとない充実感を得ることができる作品です。