ザ・フライ（1986年製作の映画）上映時間：97分
評価【★★★☆☆】3.8/5点満点中
監督
デヴィッド・クローネンバーグ
脚本
チャールズ・エドワード・ポーグ
デヴィッド・クローネンバーグ
出演者
ジェフ・ゴールドブラム
ジーナ・デイヴィス
ジョン・ゲッツ 他…
あらすじ
物質転移装置という大発明を成し遂げたブランドル博士。だが自分の肉体を使った人体実験には、一匹のハエが紛れ込んでいた! その日を境に、彼の体には驚異の変態が起こる。やがて彼は忌まわしいハエ人間となって恋人の前に現れた……!
総評
クローネンバーグ作品の中でも、最も売れたとされる本作。何を思ったのか食事中に視聴してしまいました。
ジェフ・ゴールドブラム演じる博士が、ハエ人間となる過程をゆっくりと演じています。特に物語が後半に入ってからの異変っぷりはすさまじいです。少し前までマッチョになり、順調な人生を歩み始めたかと思いきや肌がぼこぼこになり、歯が抜け、耳が抜け落ち、口から変な溶解液が出てしまう恐怖。そして徐々に人間性を失い、心までも残忍な虫に近づいてしまいます。恋人であるベロニカを傷つけない為に離れろと言いながらも本能にあらがえなくなっていく様は、悲劇の一言です。
対するヒロインであるベロニカも、妊娠をきっかけに虫を産むかもしれない恐怖とそれでも献身的に何とかしようとする愛とで揺れ動く非常に繊細なキャラクターになっています。最後はどう見ても怪物にしか見えない彼を観ても引き金を引けなくなる彼女に心を打たれます。
総じて特殊メイクのすごさとそのグロテスクさに注目が行きそうですが、怪物になっていく悲劇とそれでも愛し続ける男女の切なさを登場人物を最小限にすることで丁寧に描いた一作になっています。ただ食事中に観ることだけはおすすめしません。溶解液ゲロゲロ。
