雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)上映時間:101分
評価【★★★☆☆】3.8/5点満点中
監督
ジャン=マルク・ヴァレ
脚本
ブライン・シップ
出演者
ジェイク・ギレンホール
ナオミ・ワッツ
クリス・クーパー 他…
あらすじ
交通事故で妻を亡くした男ディヴィス。妻のコネで金融商社に勤め、特に目標もなく世間を生きてきた男だ。妻を亡くしても涙を見せないディヴィスは、たまたま買おうとした自動販売機が故障したことをきっかけに、カスタマーセンターに手紙を送る。その手紙には妻を亡くした感情の虚無さ、悲しみにあふれており、カスタマーセンターの女性カレンの心を打つ。次第にカレンとディヴイスは心を通わせていく。一方ディヴィスは衝動のままに周囲のものを解体(Demolition)し始める。
総評
ジャン=マルク・ヴァレ監督の遺作であり原題がDemolition(解体)という意味の本作。名前を聞くとシルヴェスター・スタローンのデモリッションマンを思い出しそうなものですが、全く毛色は異なります。
妻を亡くして間もないにも関わらず、いつも通り仕事をしようとする姿は本人からは普段通りにしているつもりでもちぐはぐな印象を受けます。そんな彼が取りつかれたように始めたのがものを解体すること。壊れかけていた冷蔵庫も職場のトイレのドアもパソコンも自分の家ですら解体してしまいます。(解体現場に金を払ってまで解体させてくれと頼むほど。)そんな彼の行動が周囲の人を巻き込んでいく、義父からは勤めていた会社をクビにするとまで言われる一方で、カスタマーセンターの女性カレンとその息子クリスとは友情をはぐくんでいき、無表情に思えたディヴィスに感情が戻ってきます。さながらセラピーのようなクリスとの対話は、聞き心地が良くずっと聞いていられます。
そうして感情を取り戻していったディヴィスに待ち受ける妻の妊娠していたという真実とそれでも妻を愛していたという感情をサンバイザーにはりつけてあった付箋で思い出します。そこに本作の邦題でもある”雨の日は会えない、晴れた日は君を想う”と書かれているのです。主人公のディヴィスと同様得も言われぬ感情にぐるぐるとし、思わず落涙してしまいました。
総じて本作はその邦題からはメロドラマかなという安直な予想を立ててしまいましたが、感情を失ってしまった男の破壊と再生の物語であり、主人公と同様最後は前向きに子供たちと走りたくなるそんな一作になっています。最近笑ってないな、泣いてないなという方におすすめの一作です。