映画愛が足りないブログ

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さがす(2022年製作の映画)上映時間:123分

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評価【★★★★☆】4.5/5点満点中

監督
 片山慎三
脚本
 片山慎三
 小寺和久
 高田亮
出演者
 佐藤二朗
 伊東蒼
 清水尋也  他…

 

あらすじ

 大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、 智は煙のように姿を消す。ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん!」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る 楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった――。

 

フィルマークスよりあらすじ抜粋

filmarks.com

 

 

総評

 ポンジュノ監督の助監督を務めていた片山慎三監督の最新作。「岬の兄妹」に続いて、またもややってくれました。

 失踪した父親を探す娘、、殺人犯を探す父親、殺す人間を探す殺人犯。そしてその三視点だけでなく場面ごとに幾重にも重なったこの「さがす」という行為がトントン拍子に予測不能なストーリーを組み立てています。

 引き合いに出すのは失礼かもしれませんが、福田雄一監督の常連になっており、そこでお笑い役として重宝されている佐藤二朗氏ですが、本作でそんな印象をガラリと変えてくれ、俳優であることを再認識させてくれる名演を見せてくれます。佐藤二朗だけでなく、娘役の伊東蒼、殺人犯役の清水尋也もどちらも怪演と呼ぶにふさわしい存在感を出してくれます。

 物語が三か月前、十三か月前と遡るに従って、明るみになっていく真相。そしてラスト卓球台で向いあいながら、子気味良くラリーを続ける親子がぽつりとつぶやく「待ち合わせにいたのお前か」の一言、それで全てが終わってしまうことが分かっているのに出てしまいます。そしてサイレンの鳴り響く中で物語が終了してしまいます。説明的になってしまいがちな昨今の映画の逆を行く豊かな表現を感じることができます。

 総じて佐藤二朗の真の姿を見ることができる上に、物語も目を背けたくなるような内容でありながら親子の絆を感じさせる良作です。ぜひご鑑賞下さい。