評価【★★★★☆】4.5/5点満点中
監督
クリント・イーストウッド
脚本
ニック・シェンク
出演者
クリント・イーストウッド
ビー・ヴァン
アーニー・ハー 他…
あらすじ
かつては朝鮮戦争で従軍し、今は妻を喪い孤独に暮らす気難しい老人ウォルト。
息子たちや孫からも煙たがられていた男が、近隣に引っ越してきたモン族というアジア系移民の家族とトラブルから交流が始まり、心に変化が訪れるー。
総評
クリントイーストウッド監督作品、当時はこの作品で俳優を引退すると表明していたとか。結果はご存じの通り2022年現在も新作を出し、出続けているわけですが。
人生の終わりが近づいている孤独で偏屈な老人ウォルトと、仕事がなく人生をどう生きるか迷っていた少年タオが出会い、徐々にお互いを友人と認識するようになる様を丁寧に描いています。それだけにラストのグラントリノを走らせるシーンが印象的なものにしています。主人公であるウォルトはイーストウッドにしか醸し出せない偏屈さと優しさを演じており、かなりのはまり役といえるでしょう。
今作のテーマは「生と死」で、普通重くなりがちなストーリーになるところを、少年との交流をする実は優しい老人との交流が軽口を中心にさわやかに描いており、すっきりとしたものにしてくれています。
また、舞台がデトロイトという設定も一役買っています。廃れかけたブルーカラーの町であり、多種多様な人種が混ざり合う中で登場人物たちがお互いを差別しあうのが、アメリカの現実をありありと見せつけています。
総じて日常を通して切なさとどこかさわやかさを残しながらも、人生とは何かについて語る良作です。