ジョーカー(2019年製作の映画)上映時間:122分
評価【★★★★☆】4.5/5点満点中
監督
トッド・フィリップス
脚本
トッド・フィリップス
スコット・シルヴァー
出演者
ホアキン・フェニックス
ロバート・デ・ニーロ
サジ・ビーツ 他…
あらすじ
「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる!
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
バットマンに登場する悪役「ジョーカー」の誕生を描いた本作。原作及び89年版のバットマンでは、廃液に満ちたタンクに落ちて顔が白く漂白された異形の姿になっていくが、本作では廃液に満ちたタンクというよりも、貧困と孤独に喘ぎ、呼吸困難に陥っている主人公がジョーカーへと変貌していく。
主人公アーサーは、自ら進んで悪に落ちたわけではありません。そこには社会から迫害され、だれかから必要とされることを願っていた男がひょんなことから犯罪を犯し、まるで運命で決まっていたかの様に自分の信じていたものが崩れていってしまいます。
特に面倒を見ていた母親が実は自分を虐待していた。という事実を知ったアーサーの笑いたくもないのに、泣くように笑うシーンは、ホアキン・フェニックスの迫真の演技も相まって心に来るものがありました。
映画自体のオマージュも本作の魅力の一つです。「タクシー・ドライバー」、「キングオブコメディ」などが時代背景とも融合し、70年代アメリカ感を増させています。
また、「ネットワーク」のラストを思わせる演出も本作が悲劇ではなく、喜劇であるという側面を強調しているかのようです。
総じて歴代ジョーカーに負けず劣らずの新しいジョーカーを演じたホアキン・フェニックスの狂気ともいえる演技が光っており、また孤独と悲哀に満ちたジョーカーを作り上げたことでバットマンの見方をガラリと変えてしまう作品になっています。