ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)上映時間:161分
評価【★★★☆☆】3.5/5点満点中
監督
ライアン・クーグラー
脚本
ライアン・クーグラー
出演者
レティーシャ・ライト
ルピタ・ニョンゴ
ダナイ・グリラ 他…
あらすじ
国王とヒーロー、2 つの顔を持つティ・チャラを失ったワカンダ国に海の帝国の脅威が迫る。ティ・チャラの妹であり天才科学者のシュリたちは、この危機にどう立ち向かうのか。そして、新たな希望となるブラックパンサーを受け継ぐ者は誰なのか…。未来を切りひらく者たちの熱き戦いを描いた、ドラマチック・アクション超大作が始まる。
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
ネタバレあり感想です。
楽しい作品でした!けど納得もいかない点もありました。本作のテーマは追悼と継承の二つのテーマがあるといえます。2020年に他界したチャドウィック・ボーズマンを追悼し、ブラックパンサーを誰に継承させるのかというテーマです。本作はそのテーマをうまく消化しきれていない様に感じます。またヒーロー映画としてのカタルシスがなく、(そこはMCUフェーズ4に入ってから意図的にやっているものかもしれませんが)ヒーローとは何かを改めて感じさせる作品になっています。
まず追悼と継承の面ですが、本作の序盤、病によってこの世を去ったティ・チャラ。葬式の場面からいつものマーベルロゴが彼単独の仕様になっているところまでは追悼の面を前面に押し出していました。しかし、その後映し出されるのは国王を喪ったことによる国内の混乱と残された家族の精神がおかしくなっていく様でした。
特に家族のご乱心ぶりがすごく、本作のヴィラン(ヴィランと呼んでいいのか…)のネイモアの話にも聞き耳持たず、安易に海底人を殺害してしまったことで戦争が勃発。その争いで母親を亡くしたことで、主人公シュリも復習に囚われ、研究に没頭するように。しかし、その甲斐あってか、ブラックパンサーになる方法を見つけ、結局シュリがブラックパンサーになることに。前作では精神的な儀式と王座争奪戦を勝ち残ったものだけが王座に付けるというメンタルとバイタル両面からブラックパンサーに選ばれるものという描き方をしていましたが、本作では、ただハーブを飲んだシュリが超人的な力を手に入れてしまいます。これでは、前作のヴィランであるキルモンガーと変わりません。復讐に囚われ、ただ力を振るうだけの存在になったシュリの初登場シーンのカタルシスのなさは、スターウォーズのアナキンを観ているかのようです。
シュリが腹を刺された時には、「あっそういう終わり方をするんだ」とここでこのブラックパンサーの物語も終わるのかと思いきやなぜか耐え「ワカンダフォーエバー!」と叫びながら背後からの爆風でネイモアを攻撃し、半殺しにするシーンはシリアス通り越してシュールとすら感じました。
そうして半殺しにしたうえで、降伏させ民に元に戻ったシュリが再び「ワカンダ・フォーエバー」と口にし、勝利を宣言するシーンもなんだかなぁという感じです。
結局何が言いたいかというと、シュリのブラックパンサーになる経緯が強引であり、ブラックパンサー(ヒーロー)に求められる高潔さを感じられなかったので、継承という点で失敗しているのではないかという事です。
対するネイモアは海を泳ぐ力を持ちながら、足についた羽で飛ぶこともできるというDCのアクアマンとも違ったアプローチの仕方で登場しており、南米の先住民族の意匠を残した服装や音楽なども良かったですね。というよりもあまりにもシュリがヴィランに傾いているので、ワカンダ側を応援できず、自然とネイモアを応援してしまうんですよね。
総じてチャドウィック・ボーズマンの追悼作品として愛のあるオープニングとエンディングで喪が明ける様を見事に演出している一方で、話運びは血生臭く、特にワカンダ側の言い分が納得いくものではなかったので、いまいち自分はライドできなかった印象です。ただ、161分の長さはあまり感じず、不必要なところは極力削いでいる印象です。
主人公にいかに感情移入し、共感できるかが本作を楽しむためのポイントになっていると思います。
ザ・メニュー(2022年製作の映画)上映時間:106分
評価【★★★★☆】4.0/5点満点中
監督
マーク・マイロッド
脚本
セス・リース
ウィル・トレイシー
出演者
レイフ・ファインズ
アニャ・テイラー=ジョイ
ニコラス・ホルト 他…
あらすじ
太平洋岸の孤島を訪れたカップルのマーゴとタイラー。お目当ては、なかなか予約の取れない有名シェフ、ジュリアン・スローヴィクが振る舞う、極上のメニューの数々。「ちょっと感動しちゃって」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するタイラーに対し、マーゴが感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰囲気に。なんと一つ一つのメニューには想定外の“サプライズ”が添えられていた…。果たして、レストランには、そして極上のコースメニューにはどんな秘密が隠されているのか?そしてミステリアスな超有名シェフの正体とは…?
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
ネタバレあり感想です。
これほどまでに身につまされる映画は中々ありません。ネットやSNSの影響で我々消費者が批評家の様に作品を批判できる様になって久しいです。(実際私もその一人である訳で)本作はそんな自称○○通にぶっ刺さる映画になっています。
本作はグルメを通して社会を批判するような作品かと思いきや不気味な料理を出しながらのサスペンス、スリラーな映画になり、こちらがそのサスペンスにドギマギしていたと思っていたら主人公のアニャ・テイラー=ジョイがバチコーンと正論を言って本作の雰囲気を一転させ、どこかスッキリとした映画になるというどのジャンルで説明すればよいかが難しい奇作です。
料理とは本来空腹を満たすためにあるもの。それを芸術作品として提供する様になると、作る側も食べる側も本来の意味を忘れ、「これは海を食べている」だの「○○酸がどうの」とうんちくをたれてしまいがちです。(特に権威のある男性が作ったものほどこうなりがちかと。)フルコースで出される料理はどれも美しく、グルメ番組の様にインサートで料理が紹介されます。現実の我々も権威のある人が作った作品などは良く味わいもせず、「この撮影の角度が良かった」「この演出はこの人にしかできない」等の言葉と共に賞賛してしまいがちです。しかし何よりもおいしそうだったのはチーズバーガーでしょう。そのチーズバーガーを注文された時のレイフ・ファインズの表情と言ったら…。今作随一のスカッとするシーンですし、我々観客をハッとさせるシーンでもあります。
総じてジャンル映画とひとくくりにするのには難しい作品ですが、一言で表現するとすれば、「女性映画」といえるでしょう。権威のある男性の下で強制的に従わされるレストランのルールに対して、真向から批判する(アニャ・テイラー=ジョイの目力も相まって)パワーのある作品になっています。ふとした時に見返したくなるとてもいじわるで絶品です。
ミッキーの大時計(1937年製作の映画)上映時間:8分
評価【★★★☆☆】3.7/5点満点中
監督
ベン・シャープスティーン
出演者
ウォルト・ディズニー
クラレンス・ナッシュ 他…
あらすじ
ミッキー、ドナルド、グーフィーの三匹は大時計の掃除の仕事をしている。だが、思うようにいかず、トラブル続きで…
総評
ミッキー、ドナルド、グーフィーのトリオのいつものコントです。しかし、ネタが尽きませんね。今回は街にそびえる大時計をトリオで大掃除、最初は口笛吹きながらゴキゲンに掃除をしているミッキー達でしたが、コウノトリに邪魔されたり、時計の部品に巻き込まれたりとトラブルに合ってばかり。最後は三人仲良く、時計の音に合わせてリズムをとって「The end」。いつもながら良い終わり方ですね。
本作を視聴中思ったのですが、いつからミッキーはしっかりしたキャラクターに変化したのでしょう。30年代のミッキーを観ていると、何かをしようとするたびにとんでもない目に合うキャラクターになっており、今のイメージから離れています。そのあたりの変化は調べずにこのシリーズを観ていくうちに気づければと楽しみにしています。
トランスポーター(2002年製作の映画)上映時間:93分
評価【★★★☆☆】3.7/5点満点中
監督
コリー・ユン
ルイ・レテリエ
脚本
リュック・ベッソン
ロバート・マーク・ケイメン
出演者
ジェイソン・ステイサム
スー・チー
フランソワ・ベルレアン 他…
あらすじ
フランクはワケありの品を報酬と引換えに運ぶ、プロの運び屋=トランスポーター。彼には自らに課した3つのルールがある。1)契約厳守2)名前は聞かない3)依頼品を開けない。ルールを1つでも破れば、<死>。ところが、あるデリバリーの途中、彼は依頼品を開けてしまう。そこで目にしたのは、ひとりの美しい女だった―。全編で繰り広げられる壮絶なカー・チェイスと銃撃戦!スリルとアクションがフル・スロットルで加速する!
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
久しぶりの再鑑賞。再鑑賞中「あれこんなだったっけ?」が炸裂しまくりの一本でした。監督にはコリー・ユンの名が実はこの人、真田広之主演の「龍の忍者」の監督でもあり、その他にもサモハンキンポー主演映画のアクション指導などをしているガチガチのアクション畑の人なのです。その影響もあってか、今作のヒロインは珍しくアジア系であり、ジェイソン・ステイサムのアクションもどこかカンフーよりの動きを見せています。特に終盤で見せるオイルまみれの床でのアクションは、正直言ってジャッキー・チェンの様な香港映画を見ている感覚に非常に近く、思わず笑ってしまいます。
一つ惜しい点があるとすれば、主人公のドライビングテクニックがほぼ序盤で終わってしまう事でしょう。運び屋というタイトルにも関わらず、30分程度しか運んでいるところがないので、そのあたりは次作で改善されたところでしょうね。
総じて若き日のステイサムがバリバリアクションを決めまくる、カンフー映画と言っても過言ではない映画になっています。93分という短い尺も相まって非常に見やすい作品ですので、是非見てみてくださいね。
大きな春子ちゃん Am I too big?(2014年製作の映画)上映時間:4分
評価【★★☆☆☆】2.8/5点満点中
監督
岩崎友彦
出演者
有元由妃乃
岩崎友彦
松崎まこと 他…
あらすじ
トモヲはSNSで美人でスタイル抜群な春子ちゃんとつながり、デートすることに。まことは怪しいからやめろと止めるが...
総評
「大きな春子ちゃん」というタイトルの通り、大きな女性が現れ、町はパニックにという感じの本作。短い作品ですし、低予算なのでクオリティはお察しの通りですが、光るところも。ミニチュア撮影で、建物を尻で壊すところは結構な迫力で、そのほかにもミニカーや模型を使って巨大生物映画ものとして抑えるところは抑えている感じです。
最後はゴジラさながら海を渡っていき「終」と出てきて終わるのも良いポイントです。
ダークタワー(2017年製作の映画)上映時間:95分
評価【★★★☆☆】3.2/5点満点中
監督
ニコライ・アーセル
脚本
ニコライ・アーセル
原作
スティーヴン・キング
出演者
イドリス・エルバ
マシュー・マコノヒー
トム・テイラー 他…
あらすじ
ニューヨークに住む少年ジェイクは、毎夜“巨大なタワー”“拳銃使いの戦士”“魔術を操る黒衣の男”が現れる同じ夢にうなされていた。ある日、ジェイクは現実世界と夢で見た≪中間世界≫と呼ばれる異界が時空を超えて繋がっている場所を発見し、すべては実在したのだと知る。そして中間世界に導かれたジェイクは、そこでガンスリンガーのローランドに出会うこととなる。彼は2つの世界のバランスを保つ塔≪ダークタワー≫の最後の守護者であり、ダークタワーの破壊を目論む黒衣の男・ウォルターを倒すため旅を続けていた。一方、ジェイクがタワーに関わる重要な存在だと気付いた黒衣の男が二人の前に立ちはだかり、タワーを巡る壮絶な戦いを繰り広げる。
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
スティーヴン・キング原作の小説シリーズを映画化。キングが30年もの歳月を費やして作った世界を映画化するのに、95分はいささか足りなかったように思います。
黒いコートに大型リボルバーを2丁ぶら下げ、スピーディなリロードアクションをするイドリス・エルバは中二心を震わせ、必見です。また、少年も病気だと言われていたけど実は才能ある人間でしたという設定もこれまた中二心に来るものがあります。
本作は上記の様に、中二心をくすぐるシーンはいくつか用意されており、子供でも楽しめる作風になっていると思うのですが、如何せん話が短すぎて、キャラクターに感情移入できないまま終わってしまいます。初めは子供を中心に、現実から異世界に行くまでを30分程度で、ガンスリンガーと出会ってからは異世界の世界観を30分程度で、残り30分で最終決戦へという話運び。これでは、やはり30年という長い年月をかけて作られた小説の世界観を再現するには尺が足りなすぎますね。もっとじっくりドラマでやった方が良い作品といえるでしょう。
総じて、中二心に来るシーンはいくつかありましたが、尺の短さのせいかいまいち乗り切れない惜しい作品になっています。見どころであるはずの魔術対銃のクライマックスの戦いもあっさり終わってしまうので、そこも惜しい、色々惜しい作品ですね。
禅 グローグーとマックロクロスケ(2022年製作の映画)上映時間:3分
評価【★★★☆☆】3.2/5点満点中
監督
近藤勝也
あらすじ
マンダロリアンのグローグーとトトロのまっくろくろすけが出会った。
総評
マンダロリアンのグローグーとトトロのまっくろくろすけが出会うというただそれだけの話で、正直言ってそこまで面白いものでもありません。しかし、実は日本の配信サイトでスタジオジブリ作品を観ることができるのは本作位なので、貴重な作品です。
和紙の様な紙に手書きで書かれたアニメは、2Dアニメでは難しいとされるキャラクターの回転や走りを見せてくれるので、スタジオジブリの技術が使われていることは事実です。が、いかんせんそれくらいしかなく、起承転結もないので、そこはせっかくのディズニーとスタジオジブリの初コラボ、もっと長尺で見せても良かったのではと思ってしまいます。まぁ今作は実験的なもので、ゆくゆくは新たな作品を作ってくれるかもしれませんが。
総じてスタジオジブリ好きもスターウォーズ好きも別にみてもみなくても損はしない作品になっています。それでもグローグーが好きなんだという方は是非ご鑑賞下さい。