評価【★★★★☆】4.0/5点満点中
監督
アリ・アスター
脚本
アリ・アスター
出演者
トニ・コレット
ガブリエル・バーン
アレックス・ウルフ 他…
あらすじ
グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは、過去の出来事がきっかけで母に愛憎入り交じる感情を抱いていたが、家族とともに粛々と葬儀を行う。エレンの遺品が入った箱には、「私を憎まないで」というメモが挟んであった。アニーと夫・スティーヴン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーは家族を亡くした喪失感を乗り越えようとするが、奇妙な出来事がグラハム家に頻発。不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする・・・。やがて最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。そして想像を絶する恐怖が彼女たちを襲う。一体なぜ?グラハム家に隠された秘密とは?
フィルマークスよりあらすじ抜粋
総評
A24製作ホラーに外れなし。本作は「悪魔」をテーマにした作品です。しかしながら従来の作品なら登場するエクソシストなどの解決する人が登場しない為、どこまでも登場人物たちと我々観客は転がり落ちていきます。
映像、音楽、美術の全てが本作にマッチしており、主人公のアニーの作るミニチュアのような彼らの家はカラフルな壁色で明るいながらも不気味さを放っています。
ストーリーはある人を亡くしてから現実と夢の境があいまいになる恐怖描写で次第に主人公一家が追い込まれていきます。自宅や学校の中を浮遊する青白い光、暗闇に出没する不気味な人影が緊迫感と恐怖を産み、やがて眼をふさぎたくなるようなスプラッタ描写が訪れます。Jホラーのような不気味さとグロ描写の二段構えです。
さらに本作の不気味さを際立たせているは役者陣の名演によるものでしょう。母親演じるトニ・コレットの恐怖に満ちた顔が最高に恐ろしく、また息子を演じるアレックス・ウルフのティーンエイジャー特有の鬱屈とした感じ、娘役のミリー・シャピロに至ってはどこでこんなホラー顔の子役を見つけてきたのかと賞賛を送りたくなります。しかし、トニ・コレットの顔はずっと目に焼き付きますね。
総じてホラー映画として満たすべき恐怖映像が多彩に出てきて、「も、もう十分です」といいたくなるほどの一作でした。へレディタリー/継承というタイトルに思わず納得の脚本は終盤の謎解きも含めて緻密に計算されています。皆さんも本作を観て思わず「ぎえーっ」となっていただければと思います。あぁ怖かった。