評価【★★★★☆】4.0/5点満点中
監督
アルフレッド・ヒッチコック
脚本
レイモンド・チャンドラー
チェンツイ・オルモンド
出演者
ファーリー・グレンジャー
ロバート・ウォーカー
ルース・ローマン 他…
あらすじ
テニス選手のガイは、列車で出会った青年・ブルーノから互いの邪魔者を殺す交換殺人を持ち掛けられる。相手にしないガイだったが、ブルーノは殺人を実行。アリバイがなく、警察から疑われるガイに、ブルーノは執拗に脅迫する。「次は君の番だ! 」と...。
総評
「ブレット・トレイン」で列車映画を見たので見返したくなり鑑賞しました。ヒッチコックの代表作の一つである本作。やはり傑作でした。
ヒッチコックの作り出すサスペンスは見た人が共犯者のような気持ちにさせられるところがあります。「サイコ」しかり本作しかり、今回は自分がやってもいない殺人の罪をかぶせられるかもしれない恐怖と対峙します。
実際こんな乗客と相乗りになったら嫌だなぁという感じをロバート・ウォーカー演じるブルーノというキャラクターは体現しています。いきなり話しかけてきて、人の家庭時事情に土足で踏み込み、あまつさえ殺人計画を持ち寄り、嫌がってあしらったら本当に殺人を実行してしまうという恐ろしさ。また執拗に彼が付きまとうのも恐ろしかったですねぇ。ふと顔を上げるとそこに彼がいる。いるはずのない場所にまでも彼がいるという恐怖が本作をより面白くしています。
終盤のテニスの試合のシーンは二重にハラハラさせてくれます。テニスの試合が早く終わらないといけないのに長引き、一方ブルーノはブルーノで、証拠品であるライターを溝に落としてしまいます。ブルーノが唯一動揺したシーンといっても過言ではないでしょう。果たしてどうなるのかとこちらも固唾をのんで見守る良い展開です。
ハラハラとさせられる一方で暗くなりすぎないのは、主人公のガッツのある感じとヒロインの聡明さでしょうか。こういう作品の場合、一方がお荷物になることで主人公の孤独感を演出したりするものも多いですが、本作はヒロインが文字通り支えてくれます。また物語のキーとなる場所が遊園地というのもどこかコミカルな感じがありますね。最後の決戦も遊園地で締めるというのも一つの物語として納得感があります。
総じてあっという間の101分間の乗車でした。次から次へと襲い掛かる緊張と緩和に揺られっぱなしです。さすがサスペンスの帝王といったところでしょう。Amazonプライムではあまり見放題対象にヒッチコック作品が入ることはないのですが、本作は数少ない作品の一つです。是非ご鑑賞下さい。