評価【★★★★☆】4.0/5点満点中
監督
渡部亮平
脚本
渡部亮平
出演者
土屋太鳳
田中圭
COCO
山田杏奈 他…
あらすじ
児童相談所で働く小春は、自転車屋を営む実家で父と妹と祖父と4人暮らし。幸せでも不幸せでもない平凡な毎日を送っていた。しかし ある夜、怒涛の不幸に襲われる。祖父が倒れ、車で病院に向かうも事故に遭い、父が飲酒運転で連行され、火の不始末が原因で自宅は火事になり、家業は廃業に追い込まれ、彼氏の浮気を目撃(しかも相手は自分の同僚)…一晩ですべてを失う。そんな時に出会った のが、8歳の娘・ヒカリを男手ひとつで育てる開業医の大悟。優しく、裕福な大悟は、まさに王子様のよう。彼のプロポーズを小春は受け入 れ、不幸のどん底から一気に幸せの頂点へ。しかしその先には、想像もつかない日々が待っていた――
総評
この氷塊を呑み込んだような異物感は何でしょうか。監督は渡部亮平で、商業長編映画は今回が初とか。御見それしました。シンデレラってあの後本当に幸せになったの?たった一晩踊って靴のサイズがあっただけで?という着眼点から作られた本作。
貧乏でお金に苦労していたヒロイン小春に、まさに王子様の様に優しくお金持ちでありながら8歳の子どもを育てる大悟と出会い、シンデレラストーリーの様に結婚します。幸せな日々が続くかと思いきや。幸せな描写は前半30分程度で終わってしまい、残りの70分はまぁ胸糞な話でした。本作をオファーされて三度も断ったという土屋太鳳の話も納得の胸糞具合です。(4度もオファーが来ただけあってかなりのハマり役でした。)
またハマり役という点では、モラハラ男を演じさせたら一級品の田中圭と、あえて子役経験がないながらも「見られる」ことに特化した世界的インスタグラマーのCOCOを起用している時点で優勝しているといっても過言ではないでしょう。田中圭演じる夫のときおり丁寧語を交えながら小春を罵倒するシーンは、お見事の一言です。
本作はあえて童話的に作られているのも象徴的です。いじわるな継母ならぬ子供に、完璧さを求める夫、そして自身も良き母であろうと執着する主人公など、現実よりも誇張して語られており、だからこそのあの現実味の薄い結末にも納得感、ある種のあの家族にとってのハッピーエンドになっているのです。
私は未婚で子供もいませんが、自分が将来子供を持った時に果たして幸せな家庭を築けるのかという恐怖があります。本作はそんな恐怖を抉り出したかのような一作になっています。女の子はだれでも漠然とした一つの恐怖を抱えている、私は幸せになれるのだろうか。