評価【★★★★☆】4.4/5点満点中
監督
デビッド・リーチ
脚本
ザック・オルケウィッツ
原作
伊坂幸太郎
出演者
ブラッド・ピット
ジョーイ・キング
アーロン・テイラー=ジョンソン
ブライアン・タイリー・ヘンリー
アンドリュー・コージ
真田広之
マイケル・シャノン 他…
あらすじ
世界一運の悪い殺し屋”レディバグ”。彼が受けたミッションは東京発京都行の新幹線でブリーフケースを盗み、次の駅で降りるという簡単なミッション。だが、次から次へと襲い掛かる災難と殺し屋たちにより、降りたくても降りられない!レディバグと9人の殺し屋を乗せたこの弾丸列車は京都へ向かう。だがそれは偶然ではなく、仕組まれた罠だった…。
総評
ネタバレにつき、視聴後をお勧めします。
「ジョン・ウィック」、「デッド・プール2」のデビッド・リーチ監督の最新作。
早速劇場で約2時間の旅に乗車してきました。
どでかい”弾丸列車”の文字とともにスタートする本作の魅力としては終盤の怒涛の伏線回収でしょう。仕組まれた運命と、思いもよらない偶然とが混ざり合い複雑になった現象が一つの回答へと結びついていくカタルシスは最高潮に達します。
登場人物たちも全員憎めないキャラクターをしており、特に注目すべきはアーロン・テイラー・ジョンソンとブライアン・タイリー・ヘンリー演じる殺し屋の兄弟”タンジェリン”と”レモン”の二人は何かにつけて”きかんしゃトーマス”になぞらえて話すレモンに、切れやすいながらもどこか英国紳士なタンジェリンが夫婦漫才のような掛け合いをして観客を楽しませてくれますし。主人公のブラッドピットことレディ・バグは復帰前にセラピーを受けていたからか、やたらと相手を説得したがる妙な殺し屋になっています。そこが本作の笑いどころを作っていてよかったですね。真田広之も求められる真田広之像に直球で、和服に刀のアクションを繰り広げさすがブラピとならんでも絵になるなぁと思わせてくれます。
また本作の特徴としては舞台が日本、しかも新幹線というところでしょう。狭い食堂車での戦闘や”車内ではお静かに”のルールの元繰り広げられる戦闘シーンはその場所だけでよいアクセントになっており、またナイフや毒針、パソコン果てはペットボトルまでも使用したアクションはおかしさとかっこよさを両立しています。ただ、日本をどこかではき違えたのかネオンとキャラクターで彩られた車両や今はなき豪華なラウンジを備えた食堂車、そしてさっきまで乱闘をしていたところにも関わらず、顔色一つ変えない行き過ぎたサービス精神など”ニッポン”感は否めません。(だからって炭酸水一つ千円は高すぎだろうw)ブラッド・ピットがウォシュレットをはじめとしたいろんなトイレ機能にやられるシーンにはクスリときましたが。
ラストの全員で”白い死神”こと”ホワイト・デス”を迎え撃つシーンは激熱です。しかもこちらのハートをより熱くさせる麻倉未稀の「ヒーロー」(カバーにも関わらずこちらのVerを流してくれています!)でぶちあがります。その他坂本九の「上を向いて歩こう」も流れ、さながらルイ・アームストロング「What a Wonderful World」かのような使われ方にほっこりします。
総じてそもそも東京京都感でどれだけ時間かけてんだよとか、途中までいた乗客はどうしたとか、新幹線よりも早く米原にいる真田広之はどうしてだとか色々ツッコミどころはありますが、そんなことは気にならないくらいの弾丸列車のごとき怒涛の展開に終始いつだれが死ぬんだとハラハラドキドキしてしまいました。また近いうちに乗車しようと思います。デビッド・リーチ監督!ブラッド・ピット!ドーモ、アリガトウ。