激怒(2022年製作の映画)上映時間:100分
評価【★★★★☆】4.0/5点満点中
奥野瑛太
彩木あや
森羅万象 他…
あらすじ
中年の刑事・深間は、いったん激怒すると見境なく暴力を振るってしまうという悪癖があった。かつてはその強引な手法により街から暴力団を一掃した功労者と讃えられた深間だったが、度重なる不祥事に加え、大立ち回りで死者まで出してしまったことの責任を問われ、治療のため海外の医療機関へと送られることになる。
数年後、治療半ばにして日本に呼び戻された深間は、見知った街の雰囲気が一変してしまったことに気づく。行きつけだった猥雑な店はなくなり、親しい飲み仲間や、面倒をみていた不良たちの姿もない。さらに、町内会のメンバーで結成された自警団が高圧的な「パトロール」を繰り返しているのだ。一体、この街に何が起きているのか? 「安全・安心なまち」の裏に隠された真実に気づいたとき、深間の中に久しく忘れていた怒りの炎がゆらめき始める……。
公式サイトよりあらすじ抜粋
総評
"The end"で終わる映画は良いですねぇ。本作は現代日本における監視社会を誇張し、行き過ぎた”正義”を振りかざす人に対して、徹底的な暴力で否定しています。
東京の町を歩いているとよく見かけるのが”だれか見てるぞ!”の文字。一体なぜ見られなければならないんだ。何の権利があって?というモヤモヤした気持ちになります。
本作はそんなモヤモヤのさらに上を行く監視社会を描いています。はみ出したものは生きてはゆけない社会。”安心・安全”を建前に許される暴力。主人公の深間ははじめこそ、そりゃあんたも悪いというような暴力刑事ですが、3年の治療を経て戻った後の深間の状況は、友人はいなくなり、町は最低な奴らに牛耳られ、次々と仲間が殺されていくので、それは”怒り”も溜まるわなと、ついには”俺はお前たちを殺す!”と叫び実行していく深間に本作のカタルシスがあります。殴りすぎて手からはみ出た骨で相手の顔面をつぶしたり、喉を刺すシーンは見てるこちらもアガります。
そんな暴力を経て、急に穏やかな音楽が流れ、まさかと思いきや”The end”の文字が。そうそうこういう終わり方でいいんだよと思わずニッコリして劇場を後にしました。